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病気Q&A -生活習慣病 編-

生活習慣病についての一般的な疑問について質問にお答えします。

動脈硬化とは

動脈硬化とは、本来しなやかな動脈(左絵)が「硬くなり、壁が厚くなる」ことを言います。血管の壁が厚くなると、血管の内側がもろくなって粥腫(プラーク)ができ、血管の中がせまくなったり(中絵)、詰まったり、粥腫がはがれて血液中をただよい細い血管を詰まらせたりします(右絵)。
生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)は動脈硬化を促進する因子であり“生活習慣病コントロール=動脈硬化の進行を防ぐ=心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の予防”と考えればよいでしょう。

高血圧症

「サイレント・キラー」とも呼ばれ、慢性化すれば血管に大きなダメージ(動脈硬化)を与えます。年齢とともに血圧は上がる傾向にあり、2006年のデータでは全国で約4,000万人が罹患しており成人の2.6人に1人が高血圧という計算になります。

       

脂質異常症

以前は高脂血症と呼ばれていましたが最近では脂質異常症と名称がかわりました。血液検査上
LDLコレステロール≧140mg/dlもしくは
HDLコレステロール<40mg/dlもしくは
TG(中性脂肪)≧150mg/dl
をもって脂質異常症と診断されます。

糖尿病

膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用不足や分泌低下が原因で慢性的に血液中の血糖値が高くなる病気です。過食・運動不足におちいりがちの生活環境への変化から年々その数は増加しています。

高血圧症

①血圧が高いと自覚症状はあるのですか?

極端に高すぎたり低すぎたりしない限り基本的には自覚症状はありません。正常範囲の血圧にもかかわらずふらつきなどの自覚症状がある場合には長年の高血圧のため体が高い血圧になじんでしまっている可能性があるのでゆっくりと血圧をさげていく必要があります。


②家で血圧を測定する(家庭血圧)必要がありますか?

最近では病院や医院などで測定した血圧は高いが家で測るとまったく高くない“白衣高血圧”やその逆に病院や医院での血圧は低いが家では高い“仮面高血圧”などがあることが知られています。一昔前は家庭で血圧測定をすることはなかなか難しかったのですが、近年は様々な血圧測定器が比較的安価で購入できますので当院では血圧手帳による家庭での血圧管理をお勧めしています


③血圧はどこまで下がればいいのですか?

降圧の基準は高血圧ガイドラインに記載されています(下記表参照)。ガイドラインでも家庭血圧が重視されており当院では可能な限り家庭血圧を指標とした治療を心掛けています


④もう83歳なんですが血圧は高くて当たり前ではないのですか?

高齢であればあるほど血管が固くなって血圧は上昇しやすいのは確かですが、80歳以上を対象とした臨床試験(2008年HYVET)では血圧を下げることで下げない場合と比較して脳卒中が30%、心血管死が23%、心不全が64%、全死亡が21%低下するという結果が得られました。

当院では年齢や他の病気があるかないかなどを考慮した治療を心掛けています。


⑤血圧を下げる薬に強い、弱いはありますか?

血圧を下げる薬(降圧剤)には多くの種類があり、ある薬が飛びぬけて血圧を下げやすいということはなく、また特別に副作用をおこしやすいということはありません。


⑥降圧剤にはどのような種類がありますか?

降圧剤には大きく分けると6種類ありますが重要なのはどの降圧剤を使おうと目標値まで血圧を下げることです。それぞれの降圧剤にはそれぞれの特徴があり個人個人に合わせた処方を血圧値と照らし合わせながら決定しています(表参照)。

※ACE阻害剤≒ARBと考えてください

脂質異常症

①脂質異常症の原因はなんですか?

  • 生活習慣の乱れ(食べ過ぎ、肥満、運動不足、アルコールの摂取過多など)
  • 遺伝的要因(家族性高コレステロール血症)
  • 加齢
  • 他の病気から二次的に発症するもの

などがあげられます。特に女性の方は閉経後にLDLコレステロールの上昇を抑えてくれるエストロゲンという女性ホルモンが低下するため健康診断などで定期的にチェックしておきましょう。


②総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールは何が違うのですか?

LDLコレステロール=“悪玉” コレステロール

HDLコレステロール=“善玉” コレステロール

総コレステロール=LDL+HDL+その他のコレステロール

動脈硬化の危険性が増すのは“LDLコレステロールが高いこと” “HDLコレステロールが低いこと”が主な原因であるため最近では総コレステロール値はあまり重要視されなくなってきました。


③具体的にどのくらいの値まで下げればいいのですか?

他に動脈硬化の危険因子をどのくらいもっているかによって治療の目標値がかわります。

糖尿病


①甘いものばかり食べていると必ず糖尿病になるのですか?

糖尿病の発症には遺伝的要因と肥満、過食、運動不足、ストレスなどの環境的要因が引き金となって発症すると考えられています。もちろん甘いものを食べすぎたらすべての人が糖尿病になるわけではありませんが、その可能性は高くなりますので食べ過ぎはお勧めできません。


②境界型糖尿病とはなんですか?

糖尿病とまではいえないが、完全に正常でもない状態をいい、糖尿病予備軍と考えればよいと思います。正確に診断するには75gOGTT(糖負荷試験)という検査をする必要があります。近年では早い段階の糖尿病(食前の血糖値やHbA1cは上昇していないものの食後血糖が非常に高い状態のため一般的な検査では見逃されやすい)が動脈硬化性疾患の進行を促進することが分かってきており、その状態を早期に発見するためにも75gOGTTは非常に有用な検査です。


③糖尿病と一旦診断されたのですが治りますか?

一旦糖尿病と診断されたら治ることはありません。生活習慣を改善しつつ行なう食事療法と運動療法、それだけではコントロールできない場合には薬物療法を組み合わせて血糖コントロールを行なっていくことになります。糖尿病治療の目的は高血糖を抑えることにより合併症の発症や進行を防ぐことです。


④HbA1c(ヘモグロビンA1c)とはなんですか?

1~2ヶ月前の平均血糖値の指標です。血糖コントロールが悪ければ高値に、よければ低値になります。すでに糖尿病の診断がついている人は下の表が目標値の参考となります。


⑤治療法は?

まずは食事療法と運動療法が基本となります。それでもコントロールが得られない場合に薬物やインスリン自己注射を考慮します。



食事療法に関しては当院では栄養士による専門的な指導をお勧めしています。


⑥糖尿病の3大合併症とは?

糖尿病の合併症では細い神経や血管の障害としての三大合併症(眼症・腎症・神経症)が有名です。

☆眼症:眼底に出血や浮腫をきたしますが初期の段階では自覚症状がありません。糖尿病と診断された時は必ず眼科を受診しましょう。

☆腎症(腎臓障害):糖尿病による腎臓の障害はある程度進行してしまうともとどおりには戻りません(末期には透析に至ります)。早い段階で発見することで腎臓障害の進行を防ぐことが大事であり、そのために当院でも尿検査で尿中微量アルブミンという項目を測定しております。

☆神経症(神経障害):両側の手先や足先にしびれ、痛み、異常感覚などの自覚症状が出現します。

糖尿病の患者さんはそれ以外にも動脈硬化性疾患などさまざまな合併症をきたしやすい病気です。

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